疑問点 | 回答提示 | |
1 | ⅠやⅧよりもⅣの方が高所にあり要害上はすぐれている。Ⅷのような曲輪が何故Ⅳに築かれなかったのか? | |
1 | 堀切E以南で完結した縄張りをⅣ付近まで拡張した場合Ⅰを中心とした城域全体の再編成が困難になったこと。複数の城将の地位が横並びに近いものであるため、それぞれが入る曲輪も横並び的な位置に築かれざるをえなかったこと。 | |
2 | 複数の城将の地位に開きがあれば、ⅣにⅧの形式の曲輪が築かれていた。 | |
2 | Ⅰには石垣、瓦を用いた建築の想定がされながら、Ⅷにはそれが何故見られないか? | |
1 | Ⅷは非恒常的に機能した存在であったことを端的に表している。 | |
2 |
主郭ⅠはⅧに対して弱いものになっている。地域支配のための織豊系城郭には例の見出しがたい構造である。 このような構造が生み出されたのは、合戦を契機とした改修によるものであることは疑いない。地域支配の恒常的に機能した峯城であるならば、Ⅷに主郭を移していたと考えられる。 |
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3 | 何故峯城は存在価値があるのか? | |
1 | 織田信長の家臣団が対立し、滝川一益のように秀吉に一度は敵対しながらも翌年には秀吉陣中にあって活躍するなど昨日の敵が今日の味方、あるいはその逆に転じることもしばしばであった。峯城の最終段階の縄張りは秀吉によって急激に進められる天下統一の事業の渦中において、疑心暗鬼的な心境で一つの城を防衛せざるを得なかった武将たちの微妙な思惑が投影されていると考えるのは想像過ぎるであろうか? 今日も良好に遺構を残し、文献資料上そこでの戦闘経緯が知られるものとなるとごく限られる。その意味で、峯城は 往時の合戦において城郭が果たした役割、駐留する武将の思惑を髣髴させるなどの点で貴重な存在といえるだろうと、 高田徹氏は記している。 |
記号 | 種類 | 説明 |
Ⅰ | 主郭 | 本城最大の面積を持つ曲輪(くるわ)です 。土塁は高さ約7m、幅約8m規模であり、東を除く3方には地山を削り残したと考えられるこの大土塁が囲む。 土塁や曲輪の外回り、一段下がった位置には帯曲輪が廻っている。(これにより傾斜が急) |
Ⅱ | 二の丸 | 主郭の南側に一段下がった位置にある。現況では外側に開口する虎口はみられず、南側の尾根先端部はDで遮断されている |
Ⅲ | 曲輪 | 主郭に従属的な郭(曲輪)である |
Ⅳ | 曲輪 | ⅢとⅧに挟まれた部分の後背部に築かれている。これに類似した遺構は合戦に伴って臨時的に築かれる陣城にしばしば見られる。明確な土塁、堀切などは認められず、起伏を有する部分が多い。端部には切り岸状の地形が余り見られず、全体的に簡潔性に欠けるきらいがある。城域に含まれることはまちがいない。それは、兵員の駐屯地、小屋掛けの空間などと位置づけされる。これらがなければ、Ⅰは背後の高所から攻撃を仕掛けられることになり、最大の弱点となったと考えられる。 |
Ⅴ | 櫓台 | 同上 |
Ⅵ | 曲輪 | 同上 |
Ⅶ | 曲輪 | 同上 |
Ⅷ | 曲輪 | 本城中で最も注目される遺構である。Ⅶ側とは2mの堀切で遮断し、 直接連絡できない。四周を土塁が一貫して廻り、独自に東方に虎口を開口するなど、これのみで完結した縄張りを持っている。ⅠとⅧはあたかも並立するような構えになっている。(もう一つの主郭!)峯城の他の部分より格段に軍事性が強く、技巧的な縄張りが採用されている。 位置的には北東側に延びる尾根の頂上部にあたり、この方面を軍事的に補完する上では重要な場所に当たる。 天正期以降の織豊系城郭の技術を受けたものと考えられる。 |
A | 天主台 | 本城最後部に位置し石垣を伴いその上層にそびえたと考えられる建物に瓦を用いた形跡が確認される。瓦が(コビキB)であったことから峯城の廃城時期は天正後期以降になることを示しているとのこと |
B | 櫓台 | Aの北側、土塁の北西隅に当たる |
C | 虎口 | 主郭と二の丸の連絡口で側面部に石垣を残し主郭の虎口に比定されるが複雑さにやや欠ける構造 |
D | 二重堀切 | 二の丸の南側にあり、外部と遮断する |
E | 堀切 | ここで一応城域も完結するかに見える 。当初の城域はここで完結していたと考えられる |
F | 土塁 | Ⅲの曲輪の西、北側にある。この土塁は主郭側の南面にはには設けられず 開放した形になっている。堀切Eによる断絶性は強いもののⅢはⅠに対して従属的である |
G | 虎口 | 食い違い状の虎口であり、その西側では土塁が前方に張り出し、虎口に対する横矢掛けが有効に働くようになっている。 この虎口形態によるならば、天正期以降の遺構と考えられる。 |
H | 堀切 | クランク状に折れて西側丘陵続きを画すると共にGから出た道が通じて堀低道となっている。 |
J | 虎口 | 外枡形を二重に組み合わせた軍事性の強いもので(進行上の導線上では最低六回の折れを想定している) |